我々4名は2023年9月11日から9月15日までの5日間、一般財団法人総合科学研究機構(CROSS)中性子科学センターの研究生として花島隆泰研究員の指導のもと、中性子反射率の測定データから、測定試料の磁気構造を導出する方法を学びました。この体験に基づいて、今回の経験について報告いたします。
この実習で取り扱った試料は、ダイヤモンドを使用したスピントランジスタです。スピントランジスタは、従来のトランジスタとは異なり、ソース・ドレイン電極に強磁性体材料を使用するデバイスであり、ゲート電圧だけでなく、ソース・ドレイン電極の磁化状態によっても情報を保持できるため、電力の損失が発生しないデバイスを実現する可能性があります。我々は、ダイヤモンドと強磁性体のオーミック接触を利用して、ダイヤモンドへのスピン注入およびスピンの検出、そしてスピン輸送長がどの程度なのかを測定する研究を行っています。この期間の滞在で、我々は中性子反射率を使用した固体界面の測定方法について学び、他の測定方法と比較してどのような利点があるか、なにを観察できるのかを勉強する貴重な経験を得ることができました。