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役割 ~J-PARCとCROSS~

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CROSS 中性子科学センターの役割

CROSS中性子科学センターの使命は、J-PARC「物質・生命科学実験施設(MLF)」内に設置された7本の共用ビームラインの利用促進による科学研究の発展です。
ここでは各施設とCROSSの関係についてお伝えします。

J-PARCとCROSS

大強度陽子加速器施設(J-PARC)

J-PARC(Japan Proton Accelerator Research Complex)は、JAEA(日本原子力研究開発機構)とKEK(高エネルギー加速器研究機構)とが共同で建設・運営を行っている日本が誇る大強度陽子加速器施設で、最先端の素粒子や原子核内の粒子を使った研究が行われています。 J-PARCの敷地は広大で、物質・生命科学実験施設(MLF)のほかハドロン実験施設やニュートリノ実験施設など、陽子加速器を利用したさまざまな実験施設があります。

物質・生命科学実験施設(MLF)

J-PARC構内の実験施設のうち、中性子やミュオンを使った実験装置(ビームライン)を多数保有しているのが物質・生命科学実験施設(MLF)です(図1)。MLFにある21本の中性子ビームラインのうち、7本の共用ビームラインについてCROSSが担当し、その課題の公募と選定・利用者サポート等を行っています。

図1. J-PARCにおけるCROSSの関わり

JAEA(日本原子力研究開発機構)

JAEAは、日本の原子力研究を推進する機関であり、J-PARCの共同設立者の一つです。JAEAは、J-PARC内で特に「物質・生命科学実験施設(MLF)」の運営を担当しており、この施設を通じて、物質や生命科学に関連する研究を行っています。

KEK(高エネルギー加速器研究機構)

KEKは、日本の高エネルギー物理学研究を担う機関です。JAEAと共にJ-PARCを運営しており、主に加速器の運用や技術開発を担当しています。KEKの役割は、J-PARC全体の技術基盤を支え、さまざまな実験を可能にしています。

茨城県

J-PARCは茨城県に位置しており、茨城県は地元自治体として重要な役割を果たしています。特に、茨城県はJ-PARC MLF内の2つのビームライン(BL03とBL20)を所有しており、地域の産業や研究機関と連携してこれらのビームラインを活用しています。

CROSS(総合科学研究機構)中性子科学センター

CROSSは、文部科学省から「登録施設利用促進機関(登録機関)」として指定されている一般財団法人であり、J-PARCの「物質・生命科学実験施設(MLF)」内に設置された7本の共用ビームラインの利用促進業務(利用者選定業務・利用支援業務)を行う機関です。具体的には、ビームラインの利用者を公正に選定し、施設利用研究の実施に関する情報提供、実験のサポート・相談、施設利用の拡大の取り組み等の業務を行っています。また、MLFにおけるユーザーの安全確保に関するサポートも行い、大学や企業、研究機関のユーザーが安心して実験を行えるよう支援しています。

CROSS、JASRI、RISTの関係性

文部科学省は、先端大型研究施設(J-PARC MLF・SPring-8/SACLA・Nano Terasu・スーパーコンピュータ「富岳」)の共用を促進するため、「特定先端大型研究施設の共用の促進に関する法律(共用法)」により「登録施設利用促進機関(登録機関)」を選定しています。登録機関として選定されているのが、CROSS、JASRI、RISTです。
共用法は、先端大型研究施設の共用を促進するための措置を講ずることにより、科学技術の基盤の強化等を図り、科学技術の振興に寄与することを目的としています。
共用法の下、CROSS、JASRI(高輝度光科学研究センター)、RIST(高度情報科学技術研究機構)は、先端大型研究施設の共用の促進において重要な役割を担っています。
これらの機関は、それぞれの専門領域において独自の技術基盤と研究支援体制を提供し、相互に補完し合いながら、日本の科学技術の発展に寄与しています。

特定先端大型研究施設

登録施設利用促進機関

特定中性子線施設

J-PARC

CROSS

特定放射光施設

SPring-8/SACLA・Nano Terasu

JASRI

特定高速電子計算機施設

HPCI

RIST

図2.  特定先端大型研究施設と登録施設利用促進機関との対応関係

CROSS

CROSS中性子科学センター(一般財団法人 総合科学研究機構)は、中性子科学を中心に研究活動を支援する登録機関です。
J-PARC MLFにおける中性子共用ビームラインの利用促進を担当し、ユーザーの研究を支援しています。
JASRI(公益財団法人 高輝度光科学研究センター)は、放射光科学を中心に研究活動を支援する登録機関です。
SPring-8/SACLA、Nano Tarasuにおける放射光共用ビームラインの利用促進を担当し、ユーザーの研究を支援しています。
RIST(公益財団法人 高度情報科学技術研究機構)神戸センターは、スーパーコンピュータ(「富岳」等)を活用した高度な情報科学を中心に研究活動を支援する登録機関・HPCI(※)の代表機関です。
スーパーコンピュータ「富岳」を中核とするHPCIにおける利用促進を担当し、ユーザーの研究を支援しています。

関係性と連携

これらの機関は、それぞれが持つ技術基盤や専門性を活かし、相互に補完し合う形で日本の科学技術の発展を支えています。
例えば、CROSSが中性子を活用した研究支援を行い、JASRIが放射光を利用した研究をサポートする一方で、RISTがその研究に必要なシミュレーションやデータ解析を支援するという連携が可能です。
これにより、各機関は単独では成し得ない高度な研究を実現し、産業や学術分野におけるイノベーションを推進しています。